人件費を削減する前に

景気回復が叫ばれている中、厚労省による統計調査で賃金データに大きな間違いがあることがわかり、世間を騒がせています。
厚労省の統計に寄れば全国の就労者賃金は上がっているはずだったのに実際はマイナスだったことが分かりました。

統計の前提条件や計算ミスがあることは間違い無いでしょうが、企業経営者や働く人それぞれこのニュースを見て思うことがあったのではないでしょうか。

企業経営者からすれば、「そうだよな。ウチの会社も給料上げてないもの。」
労働者からすれば、「ぜんぜん給料は上がった実感は無いな」

人件費は殆どの業種で最も企業の原価に占める割合の大きい項目です。
多くの企業の経営者は人件費をコストと捉えてどれだけ抑制できるかを日々考えています。

私の経営コンサルタントとして企業経営者と話をする中で人件費の削減を考えているシーンには日々遭遇します。
やはり企業経営者にとっては人件費と利益はバーターの関係なのです。

とはいえ、人件費削減は利益の源泉でもあると同時に企業経営におけるリスクを増大させることもあります。

人件費削減にあたり、まず気をつけなければいけないポイントをまとめました。

○モチベーションの減少

人件費ですからいわゆる給料を下げるという手段が一般的です。しかし行動経済学でも研究されているように人間の本能として、1万円給料が上がることによるモチベーションアップと、1万円給料が下がるモチベーションダウンは等しくありません。

同じ1万円の変化であっても後者の給料が下がるモチベーションのほうが大きいダメージなのです。

給料を下げることでのモチベーションダウンが、実際にそれ以上の生産性ダウンをしてしまっては本末転倒です。まず基本給のダウンなどはもってのほかと考えるべきでしょう。

○採用コストの上昇
一時的に給料を下げることができたとしても、その会社の賃金水準が下がってしまえば採用に不利になります。採用で月給が1万円低いと集まる求職者数は一気に減ります。

人の入れ替わりの激しい企業ではトータルで採用にかかるコストがどう変化するかも大切なポイントです。

人件費を削減する前に何をすべきか?

人件費を削減するのが逆効果になるケースがあります。とは言え企業としては直近の利益圧迫をどう乗り切るかは大きな課題です。

以下の3ステップで乗り切ることを提案しています。

(ステップ1)キャッシュフローの安定化
経営者の頭の中はキャッシュフローで一杯です。人件費の支払、社会保険の支払は待ったなしです。そこで取引のある銀行や政策金融公庫に、つなぎ融資をお願いしましょう。長期のキャッシュフローにおいて当面必要となる人件費を洗い出し、必要なキャッシュの額を融資申請します。

ステップ2 余分な経費の削減
経費でも日々掛かっている固定費を見直しましょう。定期的に支出しているレンタル費用、リース費用を見直して下さい。もちろん契約期間内で解約できないケースもありますが、通信費(ネット、携帯電話等)、保険、コピー機等での経費見直し効果は大きいです。固定費は一度削減すれば毎月自動的に経費を減らせますので大きなキャッシュフローになります。

ステップ3 業務効率化を考える
人件費削減のタイミングは大抵仕事が少ないときです。予定していた売上が上がらないため、原価の占める割合が大きく利益を圧迫しているのです。とはいえ受注は波があります。次に受注のアップが来たときに効率よく仕事ができるよう、空いている時間で業務効率化を考えるのです。忙しい時期では仕事の見直しをしにくいでしょうが、こういうときこそ皆で知恵を出し合い複雑な業務を簡素化することを考えて下さい。

ステップ4 生産性をアップさせる
業務効率化と近いのですが、是非やっておきたいことが時間を測る行為です。仕事に掛かる時間を一度正確に記録してみましょう。時間を測れば「こんなに掛かっている」とか「時間の割に付加価値を生んでいない」という作業が多く見つかるはずです。また電話対応、雑務だけで一日の多くの時間が費やされている実態もわかるでしょう。
ルーチーンであれば、付加価値に対して掛かった時間での付加価値生産性を把握することもできます。

まとめ
人件費削減というとネガティブな対応になりがちですが、実際に給料の削減をしては社員のモチベーションがそれ以上に落ちてしまいます。そのようにならないよう、モチベーションを維持して次の受注機会に備えることが大切です。

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