人手不足時代の経営戦略

時代は未曾有の人手不足に突入した

東京商工リサーチが10日発表した8月の全国の企業倒産件数(負債額1千万円以上)は前年同月比8.6%増の694件で、5カ月ぶりの増加となった。人手不足関連の倒産が45件に上り、7月に続き、比較できる2013年以降で過去最多を更新した。後継者不在や求人難などで経営が行き詰まった。

全産業の求人倍率は1.6倍を超え、高度成長期以来の水準だ。業種別に見ると医療・介護・建設・ITで4〜8倍の求人倍率となっている。2018年8月の全国企業倒産件数では人手不足による倒産が45件にのぼったようだ。今年も色々な企業様と会っているが、これほど「人」がテーマに上がった年は初めてだ。

この数年の経営テーマはこの「人」に尽きる。特に建設業、製造業、医療介護のように労働集約型産業においては人手不足が経営の足を引っ張るようになった。

人手不足の根本的な原因は人口動態により働く世代、労働人口が急減しているためだ。ホワイトカラーなら年齢による能力の落ち込みは軽微だが、現場系作業となるとさすがに60歳を超えて第一線を維持するのは難しくなる。

中小企業では建設業、製造業、介護では70歳の現役メンバーも多く、人手不足は臨界点に達しつつあるようだ。

人手不足時代に求められる経営テーマ

この人手不足の現代中小企業に求められることは何だろうか。

これは間違い無く生産性を上げるしかない。

生産性を上げる観点は経営的な面と現場的な面で言えば粒度が変わってくる。

経営的に俯瞰すると生産性の高い仕事に事業を絞り込むことが大切だ。
顧客、商品、サービスなど切り口は様々であるが、事業の絞り込みを行い「生産性が高い経営状態」をまず作るのだ。

一方で現場的に言うと
●同じ時間なら効率よく付加価値を生み出す。
●同じ付加価値額ならより短い時間で仕事を行う。
これを常に追求することが大切だ。

全てのスタートは「案件別の時間計測」

この「経営的な取り組み」と「現場的な取り組み」は相反しない。お互い延長線上にあることだ。そしてその全ての基本は毎日の勤務時間を案件別に管理して、「案件別の生産性を見る事」に集約される。

現場の生産性は「案件毎の粗利と作業時間」で簡単に計算できる。

生産性 = 案件粗利 ÷ 案件に掛かった作業時間

それを積み上げれば、顧客別、商品別、サービス別に何が付加価値が高いのかが確実に判明する。長期的には生産性の低い顧客、商品、サービスは撤退し、生産性の高い分野に集中するわけだ。

売上は高いが、生産性の悪い顧客、売上は低いが生産性の高い商品。このようなことを数値で説明できる経営者は殆ど居ない。

毎日自分たちがどの仕事に何時間使ったのかを計測し案件別の生産性を確かめることから全てが始まる。

 

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